インカム(無線機/トランシーバー)の選び方、各メーカーの特徴

持つべき観点とメーカーの特性をご紹介します。

無線機には様々な種類があり、大きく分けて特定小電力無線機・デジタル簡易無線機・IP無線機があります。メーカーや性能によって更に細かく機種は分類されます。

どのような無線機を選べばよいかを一度整理して、使用用途にあった最適な無線機を選ぶ参考にしてください。

インカム(無線機/トランシーバー)の選び方、各メーカーの特徴

無線機を選ぶ際の持つべき観点

距離

数メートル離れた人と通話をしたいのか、はたまた都道府県を跨いで全国規模で通話をしたいのかによって選ぶ無線機は大きく異なります。

近距離通信(数メートルから1km程度)には特定小電力無線機・Bluetooth無線機がおすすめです。免許や登録が必要なく手軽に導入できます。

中距離通信(1km〜5km程度)にはデジタル簡易無線機(免許局・登録局)がおすすめです。同時に多くの台数を使用して安定した通信を確保する場合は免許局の無線機、それ以外の場合は届出のみで使用できる登録局の無線機で大丈夫です。

長距離通信(5km以上)が必要な場合はIP無線機がおすすめです。携帯電話の電波網を利用して通話するので、携帯電話の電波が届くところなら全国で使用できます。

本体形状・重量・大きさ

無線機がどのような形状だと使い勝手がよいかを想定して無線機を選びます。

車両に常設して使用する場合は車載搭載無線機、携帯して所持する場合はハンディタイプ、常に無線機を身につけて作業にあたる場合は超軽量小型タイプなど、用途にあった機種を選ぶようにします。

サブチャンネル機能

特定小電力無線機やデジタル簡易無線機は基本同じチャンネル間での交互通話しかできません。

しかし、管理者がグループ全体の状況を把握しなければならない時はチャンネルを切り替えて使用するか、無線機を複数台もたなければなりません。サブチャンネル機能が備わっている無線機ならば1台でその役割を果たすことができ作業効率が上がります。

音声品質

無線機を使用する場所によっては、騒音が激しい環境であったり屋外での風切り音が強い場合があります。それらがノイズとなり正しく音声が伝わらないトラブルがよく起こります。

そのような場合は、高音質•高出力のスピーカーを搭載したモデルを選定したり、マイクにノイズキャンセル機能が備わっている機種を選定することで問題を解決することができます。無線機でよくありがちな「相手が何を言っているかよくわからない」といったトラブルになりません。

同時通話機能

通常トランシーバーは一方が発信している場合、受け手は発信することができません。

これにより相手が話し終わるのを待つ必要があります。急なトラブルなどの発生時にこれでは対応が遅れてしまいます。

同時通話機能の備わっている無線機でしたら、電話機の感覚で同時にお互いが通話できるようになります。発信ボタンを押す必要もなくなりますので、ハンズフリーでの通話をしたい場合にも便利な機能です。

防塵防水性能

粉塵が舞ったり水がかかるような場所で無線機を使用する場合に重要な機能です。

堅牢性の高いモデルには国際等級の「IP68」といったように数値で耐久性が表示されています。

十の位は防塵性能、一の位が防水性能を表します。

より過酷な現場で使用する場合は、この等級が高いものを選定するようにしてください。

バッテリー・オプション製品

1日中連続使用するような現場では、大容量のバッテリーオプションがあると安心ですし、無線機がBluetoothに対応していればイヤホンをコードレスにできるなど便利なオプションが多々あります。

セキュリティ

無線機はチャンネルを合わせれば第三者が簡単に傍受できてしまいます。法的にも傍受すること自体は違法ではありません。

最近では無線機のデジタル化により傍受されにくくなりましたが完全とはいえません。

外部に傍受されたくない場合は、秘話モードの機能があるもの、もしくはIP無線機を選択するようにしてください。

無線機メーカーの特徴

STANDARD HORIZON(スタンダード・ホライゾン)

会社の設立は1956年と歴史のある企業で、国内三大無線機メーカーの一つ八重洲無線のブランドです。

製造している無線機はコンパクトな特定小電力無線機からIP無線機まで幅広く展開しており、機能も充実していて定評があります。マリンレジャーで人気になったブランドで防塵防水性能も高いのが特徴です。価格もリーズナブルとなっていて人気のブランドです。

ICOM(アイコム)

世界に誇る日本発の総合無線機メーカーです。

大阪府大阪市に本社があり、自社設計・国内製造に一貫したこだわりを持っています。

業界でも類をみない、あらゆるジャンルの無線機を製造しているメーカーです。

アマチュア無線から衛星無線機まで手広く手がけており、業務用無線機の世界シェア3位です。

音質・操作性・耐久性のどれをとってもバランスの取れた設計となっています。

商品ラインナップが豊富なので、導入機のメーカーとしてもおすすめです。

STANDARD(スタンダード)

モトローラ・ソリューションズの完全子会社のブランドです。

デジタル簡易無線機・特定小電力無線機が主な商品ラインナップとなります。

モトローラ・ソリューションズの厳しい設計ガイドラインと部品適性をクリアしており耐久性と現場での使いやすさが特徴です。本体デザインもシンプルで使いやすく価格もリーズナブルなので様々な業種で広く利用されています。

ALINCO(アルインコ)

大阪府大阪市に本社のある、元々は製鉄所から創業した企業です。無線機の他にも建設機材の販売やフィットネスジムなど幅広い事業を手掛けています。

アルインコの無線機には様々なラインナップがありますが、特に特定小電力無線機とデジタル簡易無線機の種類が豊富です。超小型軽量モデルから、同時通話が可能な小電力無線機までユーザーの求めるニーズに合わせて無線機を選ぶことができます。

KENWOOD(ケンウッド)

KENWOODはオーディオメーカーとしても有名ですが、もともとはラジオ受信機の部品製造からはじまった企業です。長年に渡って培った無線の技術と音響メーカーとしての技術が合わさり、高音質な無線機として定評があります。

特定小電力無線機とデジタル簡易無線機が主力商品です。

基本性能のみを抑えたシンプルなモデルからセカンドチャンネルにも対応した機能が充実したモデルとユーザーの細やかなニーズに対応できます。

また、石油コンビナートや化学プラントなど危険物を取り扱う場所で使用することが出来る特殊用途の無線機も取り扱いしています。

MOTOROLA(モトローラ)

MOTOROLAは米国の大手無線機メーカーです。

人類が初めて月に降りたった際に地球に音声を届けたのもモトローラ社です。

現在も世界シェアNo.1で無線機業界のトップを走り続けています。

MOTOROLAは軍事用途の無線機も手掛けており、堅牢性に長けています。通常の国際基準のテストのほかに独自の基準を設けて顧客の信頼を得ています。

F.R.C.(エフアールシー)

エフ・アール・シーは東京都町田市に本社を構える無線機・車載モニターや車両用カメラを製造販売している企業です。

無線機の分野では特定小電力無線機とデジタル簡易無線機が主力商品となっており、特に特定小電力無線機のラインナップは豊富で、シンプルなモデルから多機能なモデルまで幅広く展開しています。

価格はリーズナブルなのに、しっかり機能と性能を兼ね備えたモデルが多くエントリー機としてもおすすめです。自社のオンラインショップから直接購入もできるので、今すぐに資格不要の無線機が欲しい方に最適なメーカーです。

CSR(シーエスアール)

神奈川県相模原市にあるオーディオ機器・無線通信機器・業務用カラオケ機器のOEM製品の開発・製造・販売を手掛ける企業です。

無線機のラインナップとしては、特定特定小電力無線機・デジタル簡易無線機がメインとなります。使い手の事を考えて設計されており、同時通話が可能な機種であったり堅牢性の高いモデルが多い為、工事現場や建設業から人気があります。他にも消防無線の受令機や防災・行政放送のシステムを手掛けており、行政や自治体向けの特殊な無線機の取扱いがあります。

Mobile Create(モバイルクリエイト)

2002年に設立された比較的新しい企業で、携帯通信のインフラを活用した移動体通信網とGPSを活用した無線機と移動体管理システムを提供する事業者です。

取り扱う無線機は、NTTドコモの携帯電話網を利用するIP無線機です。

他にも車両の位置情報を管理する動態管理システム「モバロケ」のサービスやタクシーの配車システムなど、無線機とITソリューションを融合させたサービスを展開しています。運送業やタクシー・バス会社の用途におすすめなメーカーです。

Smart Wave(スマートウェーブ・テレコミュニケーションズ)

神奈川県横浜市に本社のある、IP無線事業を手掛ける企業です。

人口カバー率99%のNTTドコモ回線を使用しており、通信の安定性に定評があります。

IP無線ソリューションを全面に展開しており、同社のシステムと連携すれば、GPSを使用した精度の高い動体管理機能を利用できます。

無線機本体の堅牢性も高く、運送業の他にも自治体の災害対応や工事関係者にもおすすめです。

SoftBank(ソフトバンク)

大手通信キャリアSoftBankが手掛ける業務用IP無線機事業です。SoftBankの携帯電波網を使用して通話するので安心感と信頼性があります。機種のラインナップもシンプルで車載型とハンディタイプの2機種のみになります。

機種は2機種と少ないですが、それぞれ必要十分な機能を備えています。GPSでの位置情報確認や端末同士でメッセージの送信ができたり、カメラ機能で画像や映像も送受信できたりとより携帯電話により近いサービスを提供しています。

タニザワ製作所

昭和7年創業で、無線機の他にもヘルメット・防護具など人の命を守る仕事に誇りを持っている企業です。防災ヘルメットは国内No.1のシェアを誇り、多くの企業や自治体で使われています。

そんなタニザワ製作所が手掛ける無線機は工事現場に特化した機種を展開しています。

ヘルメットに取り付けられるヘッドセッドや、安定した通信環境をフレキシブルに構築できるよう分離できるオプションアンテナを販売していたりと現場での作業を考えて設計されています。

KM通信機

愛知県東海市に本社を構えるベアリッジは超小型の小電力同時通話無線機に特化した機種を製造しています。超小型ながら様々な現場に適応する堅牢性と同時通話を行える機能性を兼ね備えています。

ベアリッジ

愛知県東海市に本社を構えるベアリッジは超小型の小電力同時通話無線機に特化した機種を製造しています。超小型ながら様々な現場に適応する堅牢性と同時通話を行える機能性を兼ね備えています。

ヘルメットに直付けできるX10Compactやスポーツ用途に特化したX10Athleteなど小型で無線機を持っていることを忘れさせてくれるくらい日常に溶け込んだ製品を世に送り出しています。

Bb TALKIN‘(ビービートーキン)

もともとはマリンスポーツ用具の製造・販売を手がける会社としてスタートした企業です。サーファー愛好者からの要望のもと海上でのコミュニケーションを取れるツールとしてBbTALKIN を開発しました。

Bluetoothの電波を利用するのが最大の特徴で日本国外でも使用が可能です。本体・マイク・スピーカー全てが防水対応しており、海やプールなどの水辺での使用はもちろん、最近ではその堅牢性から工事現場や災害対策の分野でも利用されています。

まとめ

様々な無線機を選ぶべきの観点と無線機のメーカーを紹介しましたが、何の用途で使いどのような機能があると便利かを明確にして、メーカーの特徴と照らし合わせることで最適な機種に辿り着くかと思います。これらを考慮して自分にぴったり

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株式会社 昭栄通信機

弊社は1970年創業、無線機(インカム/トランシーバー)を中心に監視カメラシステムやドライブレコーダー等の情報通信機器を取り扱っている会社です。 「無線機を導入したいけど、どの機種を選んで良いかわからない」「イベント期間だけインカムが必要なのでレンタルで利用したい」など、どんなことでもご要望をお聞かせ下さい。お客様にとって最適なシステムをご提案させていただきます。 また監視カメラシステムについても、防犯用途だけでなく事務所や工場、施設などの安全・業務管理や作業の効率化に大きく貢献するシステムをご提供しております。 まずはお気軽にご相談ください!